こんにちは、Web制作忍者のサンディーです。「NFC名刺って自分で作れるの?」というご質問をいただくことがあります。答えは、作れます。市販のNFCタグとスマホの無料アプリがあれば、URLを書き込むところまでは30分もかかりません。私も最初の1枚は、文房具店のカードと通販のシールで作りました。
ただし「作れる」と「名刺として使える」は少し違います。タグの選び方を間違えると書き込めなかったり、金属の名刺入れで反応しなかったり、短縮URLの期限が切れて配った名刺が全部リンク切れになったりします。この記事では、用意するもの、NFCタグの種類、iPhoneとAndroidそれぞれの書き込み手順、ロックの是非、紙名刺への仕込み方、よくある失敗、そして自作と依頼の分かれ目まで、Web制作会社の立場でまとめます。機種やチップの数字はApple・NXPの一次情報で確認し、最後に出典を載せています。

結論|自作でできること・できないこと
先に結論です。NFC名刺の自作でできるのは「タグにURLを書き込み、かざしたらそのページが開く状態にすること」です。できないのは「かざした先のページを、タグが勝手に用意してくれること」です。つまり自作の中心は、タグの作業ではなく、開く先のページをどうするかにあります。
自作でできること
市販のNFCタグ(かざして通信する小さなICチップとアンテナ)に、スマホのアプリでURLを書き込めます。書き込んだタグは、NFC対応のiPhoneやAndroidをかざすと通知が出て、ブラウザでそのURLが開きます。書き込みは何度でもやり直せますし、最後に書き換えできないようロックをかけることもできます。カード型のタグをそのまま名刺にする、シール型を紙名刺の裏に貼る、どちらも自分でできます。
自作ではできないこと・手間がかかること
タグに入るのはURLだけなので、かざした先のページは別に用意します。会社サイトやSNSを開くだけなら準備はいりませんが、氏名・肩書・連絡先保存ボタンが並んだ自分専用のページを作るなら、ページ作りの作業が発生します。券面の印刷、タグを紙に埋め込む加工、人数分を同じ品質でそろえることも、自作では手間がかかる部分です。NFC名刺の仕組みそのものはNFC名刺とは(仕組み・使い方)で解説しています。
用意するもの
必要なものは5つです。NFCタグ、タグを貼るか兼ねるカード、書き込みに使うスマホ、書き込みアプリ、そしてかざした先のページ。順に見ていきます。
| 用意するもの | 何に使うか | 選ぶときの目安 |
|---|---|---|
| NFCタグ | URLを記録する本体 | NFC Forum Type 2対応のもの(NTAG213など)。カード型かシール型 |
| カード・名刺 | タグを入れる、または貼る台紙 | カード型タグならそれ自体が名刺。シール型は紙名刺の裏に |
| スマホ | タグへの書き込みと動作確認 | iPhoneはiPhone 7以降、AndroidはNFC搭載機 |
| 書き込みアプリ | URLをタグに書く | App Store・Google Playで配布されているNFC書き込みアプリ |
| かざした先のページ | 相手に見せる中身 | 会社サイト・SNS・リンクまとめ・自作ページのいずれか |
NFCタグの種類|NTAG213・215・216の違い
名刺用のタグとして広く流通しているのが、NXP社のNTAG213・NTAG215・NTAG216というチップです。NXPの製品ページによると、ユーザーが自由に書き込める領域はそれぞれ144バイト・504バイト・888バイト、データ保持は10年、書き換えは10万回まで、ページ単位で読み取り専用にロックする機能があります。
| チップ | 書き込める容量 | 名刺用途での目安 |
|---|---|---|
| NTAG213 | 144バイト | 短めのURL1本なら十分。手に入りやすく流通量が多い |
| NTAG215 | 504バイト | 長めのURLや、URLに加えて短いテキストも入れたいとき |
| NTAG216 | 888バイト | vCard(連絡先ファイル)を直接入れたい場合など、容量に余裕が欲しいとき |
名刺に入れるのはURL1本なので、実務上はNTAG213で足ります。URLは1文字がほぼ1バイトなので、144バイトでも記録形式の分を差し引いて100文字前後のURLは入ります。URLが長い場合や、将来vCardそのものを入れる可能性があるなら215や216を選びます。なお、Suicaなどに使われるFeliCa方式のカードは別物なので、名刺用には「NFC Forum Type 2」「NTAG」と書かれたものを選んでください。
カード型とシール型、どちらにするか
カード型は、クレジットカードと同じ大きさのプラスチックにタグが入ったもので、それ自体を名刺として渡せます。白無地なら、名前はシールや印刷で後から載せます。シール型は、直径2〜3cmほどの丸い、または四角いシールで、既存の紙名刺の裏に貼って使います。手持ちの紙名刺を活かしたいならシール型、1枚を長く使い回すならカード型、と考えると選びやすいです。
金属に貼るなら「金属対応」のタグ
NFCは金属のそばで反応が弱くなります。金属製の名刺ケースやアルミのカードにタグを貼りたい場合は、裏面に磁性シートが入った「金属対応(オンメタル)」と書かれたタグを選びます。普通のシール型を金属に直接貼ると、ほぼ読めません。

かざした先のページを何にするか
タグの作業より先に決めたいのがここです。選択肢は大きく3つで、準備の手間と自由度が違います。
既存のサイトやSNSをそのまま開く
会社サイトの自分の紹介ページ、InstagramやXのプロフィール、LINE公式アカウントの友だち追加ページなど、すでにあるURLをそのまま書き込む方法です。準備はゼロで、今日から使えます。弱点は、相手が連絡先を保存するには手入力になることと、複数のリンクをまとめられないことです。
リンクまとめサービスを使う
複数のリンクを1ページにまとめるサービスを使えば、サイト・SNS・予約ページを並べたページが短時間で作れます。無料で始められるものが多く、スマホだけで編集できます。注意点は、ページのURLがサービス側のものになることと、サービスの仕様変更や終了の影響を受けることです。
自分でページを作る
ノーコードツールやHTMLで1ページを作り、自分のドメインで公開する方法です。氏名・肩書・電話・メール・地図・SNSに加えて、vCard(連絡先をやり取りするためのファイル形式)をダウンロードさせる「連絡先を保存」ボタンまで置けます。自由度は一番高く、手間も一番かかります。QRコードやアプリ型を含めた5つの方法の比較はデジタル名刺の作り方5つにまとめています。どのやり方でも、タグに書くURLは「https://」で始まる、長く変わらないものにしてください。理由は後の失敗例で説明します。
書き込み手順|iPhoneとAndroid
ここでは、App StoreとGoogle Playの両方で配布されているwakdev社の「NFC Tools」を例に説明します。無料で、URLの書き込みとタグのロックができることを公式ページで確認しています。ほかの書き込みアプリでも流れはほぼ同じです。書き込みに使うスマホは、iPhoneなら7以降、AndroidならNFC搭載機です。
iPhone ステップ1|アプリを入れて「書く」を開く
App StoreでNFC Toolsを入れて起動し、画面下の「書く」タブを開きます。ケースが厚い場合は、書き込みのあいだだけ外しておくと反応が安定します。
iPhone ステップ2|「レコードを追加」からURLを入れる
「レコードを追加」をタップし、「URL/URI」を選んで、かざした先のページのURLを入力します。先頭の「https://」まで含めて、ブラウザのアドレス欄からコピーして貼り付けるのが確実です。手入力だと「.com」の打ち間違いや全角文字の混入が起きやすく、それだけでページが開かなくなります。
iPhone ステップ3|「書く」を押してタグに上部をかざす
「書く」を押すと読み取り待ちの画面になるので、iPhoneの上部(背面カメラのあたり)をタグに近づけます。Appleの案内でも、非接触の読み取りは「本体の上部をかざす」と説明されています。書き込みは1秒ほどで終わり、完了の表示が出ます。失敗したときは、タグを机の上に置き、iPhoneをゆっくり上から重ねるとうまくいきます。
iPhone ステップ4|アプリを閉じてかざし、ページが開くか確認する
書き込み後は、アプリを閉じてホーム画面を表示し、同じタグにかざします。iPhone XR・XS以降なら画面上部に通知が出て、タップするとSafariでページが開きます。iPhone 7・8・XはコントロールセンターのNFCタグリーダーを開いてからかざします。ここで開いて、初めて「名刺になった」と言えます。
Android ステップ1|NFCをオンにしてアプリを入れる
AndroidはNFCが切られていることがあるので、先に設定を確認します。Googleの案内では、Pixelは「設定」→「接続済みのデバイス」→「接続の設定」→「NFC」で「NFCを使用」をオンにします。ほかのメーカーでも、設定アプリの検索欄に「NFC」と入れれば見つかります。項目自体が出てこない機種はNFC非対応です。そのうえでGoogle PlayからNFC Toolsを入れます。
Android ステップ2|「書く」→「レコードを追加」→「URL/URI」
流れはiPhoneと同じです。「書く」タブで「レコードを追加」を押し、「URL/URI」を選んでページのURLを貼り付けます。ここでも「https://」から始まる完全なURLを使います。
Android ステップ3|「書く」を押して背面をかざし、別の端末でも確認する
「書く」を押して、スマホの背面をタグに当てます。Androidはアンテナの位置が機種ごとに違うので、背面の中央から上のあたりを数cmずつずらして探してください。書き込めたら、ホーム画面に戻ってかざし、ブラウザでページが開くか確認します。渡す相手の機種は選べないので、iPhoneでも読んでおきます。

書き込んだあと|ロックの是非と、名刺への仕込み方
URLが開いたら、あと2つだけ決めることがあります。書き換えできないようロックをかけるかどうかと、タグをどう名刺の形にするかです。
書き換えロックとは何か、かけるべきか
NFCタグは、ロックをかけない限り、書き込みアプリを持っている人なら誰でも中身を書き換えられます。NFC Toolsなどのアプリには「読み取り専用にする」「ロック」といった操作があり、実行するとそのタグは二度と書き換えられなくなります。NXPのチップ仕様でも、ページ単位の読み取り専用ロックが定められています。
判断は単純です。人に渡すタグにはかける、手元で試しているタグにはかけない。ロックは戻せないので、URLが最終版であることを確認してから実行してください。かざした先のページの中身は、ロック後も自由に直せます。ロックされるのはタグの中のURLだけです。
シール型を紙名刺に貼る
一番手軽な方法です。紙名刺の裏面、できれば中央に貼ります。端に貼ると、相手がかざす位置とずれやすくなります。貼った場所に「かざしてください」と一言入れておくか、NFCのマークを小さく印刷しておくと、相手が迷いません。厚みが出るので、名刺入れに入れる枚数は少し減ります。
カード型をそのまま名刺にする、または印刷会社に埋め込みを頼む
白無地のカード型タグに、名前と会社名をシールや家庭用プリンタ対応のカードで載せれば、それが名刺になります。見た目を整えたい場合は、NFCタグ入りカードの印刷に対応している印刷会社にデザインデータを渡す方法もあります。ここまで来ると「自作」と「依頼」の中間なので、後の分かれ目の表も参考にしてください。
よくある失敗と対処
自作のNFC名刺で起きるトラブルは、ほぼ次の4種類に集約されます。順に対処法を書きます。
金属や厚いケースで反応しない
金属製の名刺入れに入れたまま、金属のテーブルに置いたまま、あるいは相手のスマホが金属プレートや磁石つきの厚いケースに入っている。この状態だと反応が弱くなります。カードは手に持って、相手のスマホの上部を近づけてもらうのが基本です。自分側の対策は、金属対応タグを使う、紙やプラスチックの名刺入れにする、の2つです。
URLが長すぎて書き込めない
NTAG213の144バイトに、計測用のパラメータがたくさん付いた長いURLを入れようとすると、容量不足で書き込みが失敗します。対処は、URLを短く整える(自分のサイトなら短い専用のアドレスを用意する)か、容量の大きいNTAG215・216を使うかです。短縮URLサービスで縮める方法は、次の落とし穴があるのでおすすめしません。
短縮URLの期限切れ・サービス終了でリンク切れになる
無料の短縮URLは、一定期間でリンクが無効になるもの、サービス自体が終了するものがあります。ロックをかけたタグのURLが切れると、配った名刺はすべて「開かないカード」になります。タグには自分で管理できるドメインのURLを書き、短くしたいときはそのドメインの中で短いアドレスを作ってください。リンクまとめサービスを使う場合も、URLが将来変わらないかを確認しておきます。
「http://」で書いた、相手の機種で開かない
Appleの開発者向け資料では、iPhoneがアプリなしでタグを読む「バックグラウンドタグ読み取り」はiPhone XS以降の機能で、タグに入ったWebサイトのURL(HTTP/HTTPS)を読んで通知を出すとされています。サイト側が暗号化通信にしか応答しないことも多いので、必ず「https://」で書いてください。相手がiPhone 7・8・XならコントロールセンターのNFCタグリーダーが必要で、6s以前はNFCタグリーダー自体が使えません。相手の機種で読めない場合に備えて、券面にQRコードを併記しておくのが一番の保険です。QRコードの入れ方は名刺にQRコードを入れる方法で、iPhone側の切り分けはiPhoneでNFC名刺が読み取れないときの対処で書いています。

自作と依頼の分かれ目
ここまで読んで「自分でできそう」と思った方も、「ページまで作るのは大変そう」と思った方もいるはずです。どちらが正解ということはなく、目的で分かれます。
| 項目 | 自作が向く | 依頼が向く |
|---|---|---|
| かざした先 | 既存のサイト・SNS・リンクまとめで足りる | 自分専用のページを、デザインごと整えたい |
| 連絡先の保存 | 相手が手入力でもよい | ワンタップで保存できるボタン(vCard)が欲しい |
| 券面 | 無地のカードやシールで構わない | 会社のロゴや色に合わせた印刷にしたい |
| 枚数 | 自分の1〜数枚 | 社員・スタッフの人数分を同じ品質でそろえたい |
| 管理 | URLの管理・ロック・更新を自分で把握できる | 運用や更新を任せたい |
| 使う場面 | 試しに使ってみたい、副業や個人の活動 | 営業・採用・展示会など会社の顔として使う |
自作は、仕組みを理解するという意味でも価値があります。一度自分で書き込んでみると、相手のスマホで何が起きているかが分かり、依頼するときにも要望を具体的に伝えられます。会社として配るなら、券面とページがそろった状態で依頼するほうが早いことが多いです。各サービスの違いはデジタル名刺の比較と選び方に、会社として導入する手順は名刺交換のデジタル化(法人)にまとめています。
よくある質問
Q. iPhoneだけでNFC名刺を自作できますか
A. できます。iPhone 7以降であれば、App Storeの書き込みアプリでタグにURLを書けます。確認はAndroidでも行っておくと、渡す相手の環境を問わず安心です。
Q. 書き込んだURLを後から変えられますか
A. ロックをかける前なら、同じ手順で何度でも上書きできます。ロック後はタグのURLは変えられませんが、かざした先のページの中身は自由に直せます。だからこそ、タグには変わらないURLを書いておきます。
Q. NFCタグにvCard(連絡先)を直接入れられますか
A. 容量が足りれば技術的には入れられますが、iPhoneのバックグラウンド読み取りで通知からそのまま開くのはURLなどに限られるため、名刺としてはURLを書き、ページ側に「連絡先を保存」ボタンを置く形が無難です。vCardの中身はvCardとはで説明しています。
Q. 100均やネット通販の安いタグでも大丈夫ですか
A. 「NFC Forum Type 2」「NTAG213」などの規格が書かれていれば使えます。規格の記載がないもの、FeliCa用と書かれたもの、金属用でないものを金属に貼る場合は、書き込めない・読めないことがあります。
Q. 自作したNFC名刺は、相手にアプリが必要ですか
A. 不要です。タグに入っているのはURLなので、相手のスマホは標準のブラウザでページを開くだけです。書き込みアプリが必要なのは、作る側の自分だけです。
ミカタ名刺(MIKATA CARD)について
自作の手順を書いてきましたが、「かざした先のページまで、ちゃんと作り込んだものを持ちたい」という方のために、私たちのサービスも紹介しておきます。

ミカタ名刺(MIKATA CARD)は、Web制作会社の株式会社THREE D PLUSが、券面のデザインも、かざした先のページも手がけるNFC名刺です。相手のスマホにアプリは不要で、連絡先をワンタップで保存できるボタン(vCard)も用意しています。自作してみて「ページの見た目まで整えたい」「人数分をそろえたい」と感じた方は、資料請求やお問い合わせからご相談ください。
「かざすだけで、味方がふえる。」が、このサービスのコピーです。詳しくはサービスページへどうぞ。
要点をまとめます。NFC Forum Type 2対応のタグ(NTAG213で十分)に、スマホの書き込みアプリで「https://」から始まる変わらないURLを書き、iPhoneとAndroidの両方で開くことを確認し、人に渡す分にはロックをかける。金属とケース、長いURL、短縮URLの期限、相手の機種。失敗の種は先に潰しておきましょう。
私も自作の1枚目は、タグをロックしたあとでURLの打ち間違いに気づきました。忍者でも、ロックの前には深呼吸が要ります。
出典
- Apple サポート「NFCタグリーダーに対応しているモデル」 https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/aside/asd-nfc-reader/15.0/ios
- Apple Developer Documentation「Adding Support for Background Tag Reading」(対応機種、読み取りが止まる条件、対応するURLの種類) https://developer.apple.com/documentation/corenfc/adding-support-for-background-tag-reading
- Apple サポート「Apple Payで買い物をする」(本体の上部をかざす) https://support.apple.com/ja-jp/HT201239
- NXP「NTAG213/215/216 NFC Forum Type 2 Tag compliant IC with 144/504/888 bytes user memory」 https://www.nxp.com/products/rfid-nfc/nfc-hf/ntag-for-tags-and-labels/ntag-213-215-216-nfc-forum-type-2-tag-compliant-ic-with-144-504-888-bytes-user-memory:NTAG213_215_216
- App Store「NFC Tools」(wakdev) https://apps.apple.com/jp/app/nfc-tools/id1252962749
- Google Play「NFC Tools」(wakdev) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.wakdev.wdnfc&hl=ja
- Google Pixel ヘルプ「NFC をオンにする」 https://support.google.com/nexus/answer/7475639?hl=ja