NFC名刺とは?仕組み・使い方・相手にアプリは要るのかを制作会社がやさしく解説

こんにちは、Web制作忍者のサンディーです。名刺交換の場で、相手がカードをスマホにかざしただけで画面にプロフィールが出てきた。そんな場面に出くわして「あれは何だったんだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか。私も初めて見たときは、手裏剣より速いなと思いました。

あれが「NFC名刺」です。この記事では、NFCという技術そのものから、NFC名刺の仕組み、相手にアプリが要るのか、iPhoneとAndroidでの読み取り方、向いている人・向かない人、導入の流れと注意点までを、Web制作会社の立場からやさしくまとめます。数字や機種名はApple・NXP・Sonyなどの一次情報で確認し、記事の最後に出典を載せています。

カードをスマートフォンにかざしてプロフィールページを開いている手元
Photo by Antoni Shkraba on Pexels

NFCとは?Suicaと同じ「かざす」技術と、NFC名刺の仕組み

NFCは身近なところで毎日使われている

NFCは「Near Field Communication(近距離無線通信)」の頭文字で、数センチの距離でデータをやり取りする仕組みです。難しそうに聞こえますが、実はほとんどの方が毎日使っています。改札でSuicaをかざす、コンビニで交通系ICやスマホ決済をタッチする、ホテルのカードキーをドアに近づける。これらはすべてNFC、またはその土台になっている非接触ICの技術です。

NFCは13.56MHzという周波数を使い、通信できる距離は10cm程度までとされています。電波を遠くまで飛ばさず、意図して「かざした」ときだけ反応するのが特徴です。この「近づけないと反応しない」性質が、名刺のように人と人が向かい合って渡す道具とよく合っています。

Suicaとの関係

日本の交通系ICカードに使われているFeliCa(フェリカ)は、ソニーの非接触IC技術で、2001年に導入されたJR東日本のSuicaに採用されたのが広がりのきっかけでした。FeliCaの通信方式はNFCの一種として「NFC-F」と呼ばれています。つまりNFC名刺は、改札でカードをかざすのと同じ系統の技術を、名刺に応用したものと考えて差し支えありません。

カードの中に小さなICタグが入っている

NFC名刺は、プラスチックや紙のカードの中に、薄いアンテナとICチップ(NFCタグ)が埋め込まれています。電池は入っていません。スマホ側が出す微弱な電波でタグが動き、記録されている情報を返す仕組みです。だから充電も電源も不要で、何年も使えます。

名刺用に広く使われているNXP社のNTAG213・215・216というチップは、それぞれ144・504・888バイトのユーザー領域を持ち、データ保持は10年、書き換えは10万回までと仕様に明記されています。数字だけ見ると少なく感じますが、名刺用に書き込むのはURL一本なので十分です。

タグに書かれているのは「URL」

ここが一番の要点です。NFC名刺のタグに入っているのは、氏名や電話番号そのものではなく、プロフィールページのURL(Webアドレス)です。相手がスマホをかざすとそのURLが読み取られ、ブラウザでページが開きます。情報の本体はWeb上のページにあるので、部署や肩書が変わってもカードを刷り直さず、ページを直すだけで済みます。

かざしてからページが開くまでの流れは、次の4段階です。

  1. 相手がスマホの上部をカードに近づける
  2. スマホがタグを検出し、URLを読み取る
  3. 画面に通知(バナー)が出る
  4. 通知をタップするとブラウザでプロフィールページが開く

数秒で終わります。相手にアプリを入れてもらう必要はなく、ページが開いたあとは普通のWebサイトと同じように操作できます。

NFCタグのアンテナとICチップが見える透明カードの図解
Photo by Matheus Bertelli on Pexels

紙名刺・QRコード名刺・アプリ型との違い

「名刺をデジタルにする」といっても、やり方はひとつではありません。代表的な4つを並べてみます。

項目紙名刺QRコード名刺NFC名刺アプリ型デジタル名刺
渡し方手渡し紙にQRを印刷し、カメラで読むカードをスマホにかざすアプリ同士で交換、またはリンクを送る
相手に必要なものなしカメラ付きスマホNFC対応スマホ同じアプリ、またはブラウザ
情報の更新刷り直しリンク先なら更新可リンク先を更新アプリ上で更新
連絡先の保存手入力か名刺アプリで読取リンク先の作り次第リンク先の作り次第(vCard対応なら1タップ)アプリの機能次第
紙の手触り・デザインありありあり(券面を自由に作れる)なし
弱点情報が古くなる、保存が手間暗い場所や小さい印刷で読みにくいことがあるNFC非対応端末では読めない相手が使っていないと成立しにくい

QRコードも優れた方法で、NFCと組み合わせて券面にQRも印刷しておくのが実務上は安心です。QRコード名刺の作り方は名刺にQRコードを載せる方法で、各方式の比較はデジタル名刺サービスの比較で詳しく書いています。

相手側の操作。iPhoneとAndroidで何が違うか

NFC名刺で一番多い不安は「相手のスマホで本当に読めるのか」です。ここはAppleとGoogleの公式情報をもとに整理します。

iPhone XR・XS以降は、かざすだけで通知が出る

Appleのサポート情報では、iPhone XR・XS・XS Max、iPhone 11シリーズ以降、iPhone SE(第2世代以降)は「NFCタグリーダー」に自動対応しているとされています。これらの機種では、画面がついた状態で上部をカードに近づけると、アプリを開いていなくてもタグを検出し、画面上部に通知が出ます。Appleはこれを「バックグラウンドタグ読み取り」と呼んでいます。

iPhone 7・8・Xは、コントロールセンターから読み取る

iPhone 7・7 Plus、8・8 Plus、Xは、NFCタグを読める機能自体はありますが、自動では反応しません。コントロールセンターにある「NFCタグリーダー」をタップしてから、カードをかざす手順になります。相手がこの世代のiPhoneを使っている場合は「コントロールセンターのNFCタグリーダーを開いてください」と一言添えるか、券面のQRコードを案内するのが親切です。

なお、iPhone 6s以前の機種は、Appleの「NFCタグリーダー」対応一覧に含まれていません。この場合はQRコードやURLの口頭案内で補います。

バックグラウンド読み取りが働かない場面

Appleの技術資料によると、バックグラウンドタグ読み取りは、電源を入れたあと一度もロック解除していない状態では動きません。また、WalletやApple Payの利用中、カメラの起動中、機内モード中も読み取りは行われません。カードをかざしても反応しないときは、相手がカメラアプリを開いたままになっていないかを確認すると解決することがあります。ロック中に読み取った場合は、ロック解除をうながす表示が出て、その後にページが開きます。

Androidは機種差があるので、設定だけ確認

Androidは多くの機種がNFCを搭載していますが、設定の名前や場所がメーカーごとに違います。Googleの案内では、Pixelの場合は「設定」→「接続済みのデバイス」→「接続の設定」→「NFC」から「NFCを使用」をオンにします。他のメーカーでも、設定アプリの検索欄に「NFC」と入れれば見つかります。NFCの項目自体が出てこない機種はNFC非対応なので、その場合もQRコードで補います。

まとめると、相手のスマホに特別なアプリを入れてもらう必要はありません。NFC名刺はURLを読み取ってブラウザで開くだけなので、相手の側はいつも通りスマホを使えばよく、「アプリを入れてください」とお願いする場面がないのが、名刺交換の流れを止めない理由です。

iPhoneの画面上部にNFCタグ読み取りの通知バナーが表示されている様子
Photo by Brett Jordan on Pexels

NFC名刺でできること

電話・メール・地図・SNSがワンタップで開く

かざした先のプロフィールページに、電話番号・メールアドレス・住所を載せておくと、相手はタップするだけで電話をかけたり、メールを書き始めたり、地図アプリで会社の場所を開いたりできます。紙名刺の番号を見ながら手で打つ手間がなくなります。

SNSや会社サイトへの案内も同じページでできます。Instagram、X、LINE公式、YouTube、会社サイト、採用ページなど、見てほしいリンクをまとめて置けます。紙名刺では書ききれなかった情報を、相手が興味を持ったタイミングで見てもらえます。

連絡先をスマホに保存してもらえる(vCard)

vCard(ブイカード)は、氏名・会社名・電話番号・メールアドレスなどをまとめた電子名刺の標準形式で、インターネット技術の標準文書(RFC 6350)で定められています。プロフィールページに「連絡先を保存」ボタンを置いてvCardを渡せば、相手はワンタップで自分のスマホの連絡先に登録できます。これが、後日「あの人の番号どこだっけ」をなくす一番の近道です。

そしてもうひとつ、リンク先のページを直せば、配ったカードすべてに反映されます。異動・昇進・電話番号の変更・新サービスの追加があっても、刷り直しは不要です。

NFC名刺が向いている人・向かない人

向いているのは、次のような方です。

  • 初対面の相手に、紙では伝えきれない実績やサービスを見てもらいたい営業担当・経営者
  • Instagramや会社サイトへ誘導したい店舗・サロン・飲食店のオーナー(飲食店・店舗での活用方法も参考に)
  • 肩書や連絡先が変わりやすく、刷り直しの手間を減らしたい方
  • 「ちょっと違う」ことが印象に残る、展示会・交流会に多く出る方

一方で、次のような場合は慎重に考えたほうがよいでしょう。

  • 名刺交換の相手が、社内ルールでスマホを会議室に持ち込めない業種が多い場合
  • 紙名刺を受け取って社内のファイリングシステムに回す、という運用が決まっている取引先が中心の場合
  • プロフィールページを作っても、見せたい情報(サイト・SNS・実績)がまだ整っていない場合

向かない場合でも、紙名刺にNFCとQRを両方載せる「併用型」にすれば、相手の環境を選ばずに済みます。会社全体で検討する場合は法人の名刺デジタル化もあわせてご覧ください。

導入の流れ

見せたい情報を決める

まず、かざした先のページに何を載せるかを決めます。氏名・会社名・肩書・電話・メール・住所に加え、SNS、サイト、実績、予約ページなど。「相手にどこへ行ってほしいか」を一つ決めると、ページがすっきりします。

プロフィールページを用意する

NFC名刺サービスが用意するテンプレートを使う方法と、Web制作会社に作ってもらう方法があります。自分で作る手順はデジタル名刺の作り方にまとめています。

券面のデザインを決める

NFC名刺は、受け取った相手が最初に見るのは券面です。紙名刺と同じくロゴ・色・余白で印象が決まります。NFC非対応端末への保険として、QRコードも小さく載せておくのがおすすめです。

タグにURLを書き込んで、実機で確認する

カードのタグにプロフィールページのURLを書き込み、iPhoneとAndroidの両方で実際にかざして確認します。通知が出るか、ページが正しく開くか、「連絡先を保存」が動くかまで見ておくと安心です。

使いながらページを育てる

配り始めたら、相手の反応を見てページを直していきます。「地図のリンクがよく使われる」「実績ページの反応が良い」といった気づきを反映できるのが、紙名刺にはない良さです。

デスクに並べた名刺デザインの校正と、スマホで開いたプロフィールページ
Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels

注意点とトラブルを避けるコツ

NFC非対応のスマホがある

前述のとおり、古いiPhoneや一部のAndroidではNFCが使えません。QRコードを併記しておけば、ほぼすべてのスマホで対応できます。

スマホケースの厚みや素材、かざす位置

厚いケースや、金属プレート・磁石つきのケースでは、NFCの反応が弱くなることがあります。反応しないときは、ケースの薄い部分をカードに当てると改善することがあります。

かざす位置も大切です。iPhoneはアンテナが本体上部にあるので、カードの中央ではなく、スマホの上端あたりを近づけてもらうと反応が早いです。Androidは機種によって位置が異なるため、背面中央から上部のあいだで少し動かしてもらうと見つかります。

金属の上に置くと読めない

NFCは金属の影響を受けやすく、名刺入れやカードを金属の上に置いたまま読み取ろうとすると反応しないことがあります。カードは手に持った状態で、スマホの上部をそっと近づけてもらうのが確実です。

書き換えロックと「1人1枚」

NFCタグは、設定によっては後から誰でも書き換えられます。配る名刺のタグには書き換えロックをかけておくか、提供元がロック済みで納品しているかを確認しておくと安心です。

また、タグに入っているURLは一人ひとりのページに結びついています。部署で1枚を回すような使い方をすると、連絡先の保存先がずれてしまいます。1人1枚が基本です。

スマホの上部をカードに近づけている手元のクローズアップ
Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels

よくある質問

相手がアプリを持っていなくても読めますか

読めます。NFC名刺はURLを読み取ってブラウザで開く仕組みなので、相手のスマホに専用アプリは不要です。

iPhoneで読み取れないことがあるのはなぜですか

iPhone 7・8・XはコントロールセンターのNFCタグリーダーから手動で読み取る必要があります。XR・XS以降でも、電源を入れたあと一度もロック解除していない、カメラが起動中、Apple Payを使用中、機内モード中は読み取りが止まります。それ以外で反応しないときは、ケースの厚みやかざす位置を見直してみてください。

Androidでも使えますか

NFCを搭載したAndroidなら使えます。設定アプリで「NFC」を検索して、オンになっているか確認してください。項目が見つからない機種はNFC非対応です。

情報を変えたいときはカードを作り直すのですか

いいえ。タグに入っているのはURLなので、リンク先のページを直すだけで、配ったカードすべてに反映されます。

紙名刺と併用してもよいですか

むしろおすすめです。NFC名刺の券面にQRコードも載せておけば、NFC非対応のスマホにも対応できますし、紙として手渡す安心感も残ります。電池や充電は不要なので、紙名刺と同じ感覚で名刺入れに入れておけます。

セキュリティは大丈夫ですか

タグに入っているのは公開してよいプロフィールページのURLだけです。見られて困る情報はタグにもページにも載せない、タグには書き換えロックをかける、という2点を守れば、紙名刺を渡すのと大きく変わりません。

あわせて読みたい記事: NFC名刺を自作する方法、iPhoneでNFC名刺が読み取れないときの対処、スマート名刺・タッチ名刺・電子名刺の違い

ミカタ名刺(MIKATA CARD)について

ここまで読んで「券面もページも、ちゃんと作り込んだものを持ちたい」と思われた方へ、私たちのサービスを少しだけ紹介します。

ミカタ名刺(MIKATA CARD)は、Web制作会社の株式会社THREE D PLUSが手がけるNFC名刺です。カードの券面と、かざした先のプロフィールページの両方を、ふだんWebサイトを作っている私たちが手がけます。その人の仕事と見せたいものを、紙とスマホの画面の両方でそろえて伝えられるのが、Web制作会社が作る名刺の良さだと考えています。

  • 相手のスマホにアプリは不要です
  • 「連絡先を保存」ボタンで、vCard形式の連絡先をワンタップで登録してもらえます
  • プロフィールページのURLは、標準では弊社が発行するものを使います。オプションで、自社ドメインでの運用にも対応します

コピーは「かざすだけで、味方がふえる。」。名刺交換を「その場で終わる挨拶」から「次につながる入口」に変えるためのサービスです。詳しくはサービスページへどうぞ。

最後に、この記事の要点をまとめます。NFC名刺は、Suicaと同じ系統の「かざす」技術を名刺に応用したもので、カードの中のタグにプロフィールページのURLが入っています。相手はアプリ不要で、iPhone XR・XS以降ならかざすだけ、iPhone 7・8・XはコントロールセンターのNFCタグリーダーから、AndroidはNFC設定をオンにすれば読み取れます。電話・メール・地図・SNS・連絡先保存までワンタップでつながり、情報の更新はページを直すだけ。NFC非対応の端末や金属・ケースの影響には、QRコードの併記とかざす位置の工夫で備えられます。

開業や独立のお祝いとして人に贈る使い方はNFC名刺を贈り物にする記事にまとめました。

名刺は、相手の手元に残る自分の分身です。紙のままでも、NFCに変えても、「相手がその先で困らないか」を考えて作れば、きっと味方がふえます。それでは私は、次の記事を書きに闇へ戻ります。

出典